2010-10-30

言わずして後悔するか言って後悔するか

面接を前に-30℃以下で冷凍保存されたマグロ状態となっている彼らに、「面接の場合、言わないで後悔するよりも、言って後悔したほうが良いと思います。自信を持って頑張ってください」と担当の女性社員は解凍のことばで送り出したらしい。面接が終わってから言ったことを後悔していた。

質問がちりじりに飛び交って収集がつかないのを見かねるように「じゃ最後に自己アピールなどあればどうぞ」と場を仕切る総務部の後輩は彼に告げた。
コの字に並んだ7人は前もって練習を重ねたように、一斉に顔を上げて後輩が告げた先に目を向けた。

彼はぅむと喉の奥を鳴らし意識して顎をひいて見せてから、腹式呼吸を自慢するように「はいっ!!」と応えた後、さらに深呼吸するように胸を膨らまして「私は水樹奈々さんの大ファンです。いやファンという感情以上に女性として大好きです。愛しています。これからも彼女のファンとして彼女を支え自分の出来る限り応援して行きたいと思っています!」と一気に言い放ち、一瞬その余韻に浸るもすぐに眉に縦じわをつくり不自然な三重に近い二重まぶたを作り上げたうえで、真正面に座る後輩に自信に満ち溢れたその目を向けた。

私を含めた7人は、まるで遠い外国で発生したマグニチュード8以上の地震によって一気に引き潮に見舞われ、その影響によって波打ち際に置き去りにされた魚たちの様に、エラの周りに水流を作ることが出来ずにただ口をパクパクしている、一瞬にしてそんな状態に陥った。

じつは学校に提出している求人票には、声優の育成やプロモートなどの新規事業参入の計画について密かに記載してあるのかもしれないね、などと真剣に考えてしまった。そんな職場は純然たる製造業。

tiltshift
(注:文章と画像は関係ありません)




冬の気配は親指から

台風の影響からか朝から鉛色した空。ならばとモノクロモード全開で気分は天地無用。

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\  しむらぁー!  /  
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\  うしろ!うしろぉー!  / 
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2010-10-29

朝を彩る雨あがり

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寄る年波には人でも勝てぬ

生前の父が「歳食って、おしめをするようになったら、それこそおしめぇーよ!」と言いはじめたら、それは血中アルコール濃度がいい具合な感じであることを示す判断基準でした。

最近いきなり寒くなり、ご老体のことを考えて日中からホットカーペットを入れてます。そのカーペットの上でゴロリゴロリしていると暖かくて感覚が麻痺してしまうのか、垂れ流すことが多くなりました。日当たりのいい暖かい場所でゴロリゴロリしてるときは大丈夫でも、床が暖かいとダメみたい。ちょっと前から怪しかったけど。

おかげで朝のおむつ換えが日課になりました。おむつから出てる尻尾がなんとも。

tiltshift


2010-10-28

宝くじに夢見がち

本社まで片道400km弱。

特別なことがない限りこの距離を社用車でひた走る。残念だがファラ・フォーセットは同乗することはない。ここ最近は月イチのペースでこの距離を上って下って、ごくまれに下ってしまってパーキングのトイレに駆け込んだりする。

移動時間は5時間弱。

出張の移動だけで往復10時間弱を消費する。これは1日24時間のうち6時間を睡眠時間と考えると活動時間の55%強をこの移動に充てることになり、日本人男性の平均寿命を80歳とした場合、生涯のうちで本社出張のために移動する時間は... などと無駄に発意してしまうと、意地悪に設置されたオービスに一瞬視覚を奪われるほどのフラッシュをたかれ、生涯のうちで幾度目かの後悔ランキングを最新のものに更新する結果になるので注意したい。

基点から下り360km弱。

牛タンの赤いのぼりがはためきアイパッチをしたご当地キャラが目立ち始めたサービスエリアに乗り入れた際、ちょいと腰高でグラマラスボディの持ち主に遭遇。魅力的なヒップラインに「X6」のエンブレムを備えていた。

BMWx6

車の免許を取得してから、しばらくの間、ちょっと古くて個性のある様々な外国車ばかり乗り継いだ。そんな盛んな頃、BMW(べーんべー)は特定の古いモデル(2002(マルニ)、3.0CS、初代6シリーズ)にしか興味がなかった。「わかりやすく言えば俺らは右だ」という一生消えることの無い様々なものを背負ってしまった友達や、やはりソッチ系の知人らが燃費の悪さを毒づきながら5シリーズのシートに座り、重心をドア側に預けて運転する様などを見て、自分の中で勝手に下品なイメージを作り上げてしまったからだと思う。もちろんBMWに罪はない。

最近フランス映画を観てるとBMWがやたらとかっこいい。フランス映画じゃないとダメ。フランス映画限定。「あるいは裏切りという名の犬」だったか「やがて復讐という名の雨」だったか「いずれ欲望という名の闇」だったかは、定かではないがBMWがかっこよかった(それ以上にアルファロメオは当然かっこよかった)。純粋なフランス映画ではないが「トランスポーター」に登場する7シリーズも然りだ。

だが、10年前の結婚を機に自然と興味関心事は車から、家族・子供らへとパドルシフトした。車に対する関心事は地中深いところに埋めて、それ以上の関心をあえて抱こうとしないようにした。


伊藤園の韃靼そば茶で喉を潤しながら、ちょいと周りをうかがって、五十音の「は」行を順にため息混じりに吐き出しているのに気づいて頬を赤らめながら、「X6」をぐるぐると反時計周りにまわって、チリの鉱山落盤事故で地下700mからの救出された作業員のように車に対する興味関心事が湧き上がった15分間。10年ぶりぐらいに心躍らされたスポーツ・アクティビティ・クーペ。実車を見て素直にいい車だと思った。

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色気の無い社用車に乗り込みセルをひねりながら、頭の中の宝くじが当たったらリストに「BMW X6」と付け加え、あらためて手っ取り早く夢を買うことが出来る宝くじの効力を実感した先週末。
しかし宝くじは買わないと当たらない。

2010-10-27

ぬかるんでる足元ばかり見ていられない

主張する縦、確固たる横、そこに生じた隙間を自由罫線でうまい具合に結び、年度末に向けて皆で揃って合唱できるように奮闘したりしている。先の文末部分は私の仕事について子供に聞かれた際に説明しているほぼその内容。それと人に関する事柄についてもちょいと携わっている。

ジリリとした日差しに痛さを覚える頃。ホルモンと細菌と皮脂の激しい戦いが繰り広げられている額の下、明日を見据える凛とした二つの眼を持つ若者たち。話のきっかけに両親の年を聞いて安堵の念を抱きながら、両の手を右に左に動かして右に左に工場を案内する。
いい加減聞き飽きるぐらい残暑と連呼される頃ぐらいから、見たことのある若者らが次々に会議室に案内されていく様をパーテーションの隙間から覗き見する。
覗き見というとなんだかいやらしい表現なのだが、隙間から見る行為を的確に表すと覗き見になるのだから覗き見で問題ないと思うが、それ以前に覗き見がいやらしい表現ではないとすればその時点で何ら問題ないことだ。

事前に配られた履歴書と調査書に目を落とした先に機械設備オペレーター希望の女子。3年ぐらい前に男女雇用機会均等法なる法律が施行されたとはいえ4勤2休で3交代勤務の職種。明確にしていない企業側にも責任があると反省するもそこは普通は男子ばかりの職種。成績優秀で1~3年まで欠席は1日。とはいえ、筆記試験でCSの巨人打線のように期待された結果を出せず、適正試験の結果はほぼ白紙で面接の順番調整してこれをやり直し、「私の将来」なる題の作文で将来は声優になることが私の夢、声優になって様々な役柄をこなしたいと400字詰め原稿用紙2枚半程度にまとめ上げ、面接ではネガティブシンキングだと自己主張し、長き間会社での時間を共にした者たちのその顔は初めて見る表情ばかりでなんだか得した気分になった。

と、いうことで長々と書いたけど明日も面接試験です。

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2010-10-26

犬の力(上下巻) - ドン・ウィンズロウ



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メキシコの麻薬撲滅に取り憑かれたDEAの捜査官アート・ケラー。叔父が築くラテンアメリカの麻薬カルテルの後継バレーラ兄弟。高級娼婦への道を歩む美貌の不良学生ノーラに、やがて無慈悲な殺し屋となるヘルズ・キッチン育ちの若者カラン。彼らが好むと好まざるとにかかわらず放り込まれるのは、30年に及ぶ壮絶な麻薬戦争。米国政府、麻薬カルテル、マフィアら様々な組織の思惑が交錯し、物語は疾走を始める―。

昼休み、食事以外の45分弱はたいていの場合読書に割りあてる。この時間を急かした本はなんとなく数えることができるが、この上下巻は食事も急かした作品。最近だと「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」以来。読了後に「ミレニアム2 火と戯れる女」を求めて書店に行った際に「このミステリーがすごい!海外編」に惹かれて手にとってレジに向かった作品。(ミレニアムは楽しめたが登場人物の多さと聞きなれない人物名に疲労困憊気味だったのは正直なとこ)
裏切りにつぐ裏切り、そして裏切りの果ての報復という殺戮と暴虐。
めくってすぐの巻頭見開き2頁におよぶ主な登場人物は容赦なく次々と消えていく。
思わず感情移入してしまったヘルズキッチン育ちでふとしたきっかけで、あれよあれよという間に殺し屋となってしまったカランが生き残ることを祈りながら、上下巻を数週間かけて1000頁をめくりあげた。最近では珍しく是非映画化してほしいと思った作品。

わが魂を剣から解き放ちたまえ。わが愛を犬の力から解き放ちたまえ。

2010-10-25

靴下の行方

彼の片方の靴下を探していて無駄に労力を使うことを足の裏と踵にありありと刻まれた活動の証を見てやめた。しかし残された片方の靴下が不憫でならない。

この時期、はたと気づけばそこかしこ黒とオレンジ色に侵食されていく風景。いやオレンジ色したかぼちゃを目にして、もうそんな時期かと思わせるぐらいにクリスマス、バレンタインデーに次いで急速に浸透した西洋文化。いいとこどり的な西洋文化。

以前にブログでも書いたことがあるハロウィンに関すること。エイプリールフールは嘘をついてもいい日。ハロウィンは仮装してもいい日。だが年齢的にいい大人なので仮想することにしたが、片方の靴下の寿命を全うさせてやろうとプチ仮装。昨年は「カオナシ(千と千尋の神隠し)」、今年は一応流行りを意識してみた。

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ここに書いている、これを撮っている姿は決して想像しないでほしい。
それは非常に恥ずかしいことだから。