2011-03-25

甚だしい勘違い

3月11日。ざっとネットで調べてみたならば、1869年にパンダが発見された日であるとか、1990年にリトアニアがソ連から独立を宣言した日のようだ。他には、1984年に宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」が封切りしたり、1992年に自動販売機のジュースの価格が110円に値上げしたあたりが、個人的に目についた出来事。

私はもう10年近く会社の始まる1時間前には出勤している。きっかけは、定時時間を過ぎてからの業務処理は効率が悪くなると考えたから。最近だと「前業」というらしいけれど、今回「前業」についてあれこれ評論を書こうとしているわけではない。

まだ誰も出社していないフロアをまわり、バレンタインデーのお返しを配り終える。そのうちに男性社員が出社してくるが、そのような行為をする者を目にしない。恒例行事にも不景気の影響かと、真剣に考えながらコーヒーを啜る。

事務的な電子音が仕事の始まりを告げる。5分程すると、バレンタインデーのお返しの礼の内線電話が鳴り出す。そのうちの一本、「月曜に休暇を御取りになられるのですか?」と彼女は言う。「いや、どうして?」私が聞くと「ホワイトデーは来週月曜日の14日ですよね」とやぶ蚊の羽音に似た声で答える。旧いポルシェのシフト操作みたいに、糖蜜の中でスプーンをかき混ぜるような返答をして、受話器が陶器製であるように置いた。程なくしてすぐに後ろに座る女性社員からも、「すみません、ありがとう御座います」と大げさに包装されたその小さな箱を上げながら言われる。
向かいで受信したメールと格闘していた同期が、モニター脇から顔をのぞかせて、「ホワイトデーって14日だよな、14日有給でもとるのか」と言って追い討ちをかける。
今年はうるう年だから、ホワイトデーも2日早まるらしいという風評を流して、その場を取り繕った。

 ──── 3月11日の昼休みに書いていた内容(こと)。

その2時間後ぐらいには、緊急地震速報を子守唄にして、下書き保存の中で二週間ほどの眠りにつくことになった内容(こと)。ほんの数時間で冒頭の数行に記した内容に追記される出来事が発生する。以降、経過した数週間は、数十年に匹敵するような密度が濃いものだった。

いまだに停電している実家のまわりの瓦礫の影から、見上げた夜空に瞬く星が唯一の希望。

もう少し落ち着いたころに、今回のことについてあらためて書こうと思います :)

2 件のコメント:

  1. sharon様
    1日遅れでもらった義理チョコを思い出しました。
    本命であれば、サプライズ効果を狙って日をずらす賭けにもでることがあるかもしれませんが、義理チョコだもんな。

    「あら、昨日会わなかったじゃない」ま、探してまで渡すことではないワケだ。


    「しどろ、もどろ」と書けない、syaronさんのシャイが可愛いと言ってくれる人がいるのでしょうか。


    荒木

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  2. 荒木さん
    来年のバレンタインデーにチョコを送りますので、今度住所を教えてください(笑

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