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2011-06-14

そうやすやすと

最近、めっきり随筆の類しか読んでいない。

しかし、川上弘美、町田康、内田百聞、とはキングのベルウッドスペシャルコンボ *1 並であるななどと我ながら関心したりする。
そろそろ、結末でひょぉと唸る様な、急転直下な展開技法が優れた書籍を欲してきたので、そろり、本棚に並ぶ積読本を眺めて、やはり、ジェフリー・ディーヴァー先生、これ、ひとつお願いします、と読み始めるのだけれど、ある日を境にして、ひとまず置いておいて、繋げてみたり、膨らましたりして読むことが、未だに億劫になってしまっている。

もう少し、出来るだけ、やわらかめの書籍を読んでリハビリすることにしようと思った次第。



*1:「鉄拳6」3Dタイプ対戦型格闘ゲーム(ナムコ)。

2011-05-27

いのちなき砂のかなしさよ

沢木耕太郎著作の「人の砂漠」を読んでいます。

約30年前、20代半ばの著者による濃厚なルポルタージュです。
かけ離れた日常世界、タブーな部分に踏み込んだ作品です。
一体のミイラと英語まじりの奇妙なノートを残して、ひとりの老女が餓死した―老女の隠された過去を追って、人の生き方を見つめた「おばあさんが死んだ」、元売春婦たちの養護施設に取材した「棄てられた女たちのユートピア」をはじめ、ルポルタージュ全8編。陽の当たらない場所で人知れず生きる人々や人生の敗残者たちを、ニュージャーナリズムの若き担い手が暖かく描き出す。
全八編のうち、「棄てられた女たちのユートピア」の章で印象に残った内容。

かにた婦人の村 施設長 深津文雄(牧師)へのインタビュー (一部抜粋)

『腹に貯めても倉に貯めるなというのが、この村を律する倫理なのですね?』
『そう、そして社会の悪の根源はそこにあると思う。誰でも腹一杯食う権利はあるんだ。食うだけならこの世はうまくいく。倉に貯めようとする奴が出てくるから、世の中がうまくいかなくなる。強い者と弱い者がはっきりしてくるからだ。強者の論理が弱者を蹴散らす。弱者はいったいどうしたらいいのだ。ぼくは、強い者がちの社会を否定する────(略)────でも、いくら教会が空理空論をもてあそんでも世の中は一向に変わらないんだ。人を批判する暇があったら、自分も泥水につかって実践すればいい。必要な事はイエス的な世界を現世に作る事だ。ぼくはイエスだったらどうするだろう・・・・・と考えながら、この村を運用してきた。死んだ赤岩栄が「イエスは私だ」といった。正しいと思う。「私はイエスだ」といえばおかしいが、「イエスは私だ」と思って実践することは必要なのだ』
『教条主義というのは、ある人が経験した事実を、今度は自分が経験せずに真実だと主張することだ。イエスの言葉が真実だと叫ぶ事が重要なのでなく、イエスの言葉でいかに死んでしまったも同然の人を生きかえらすか、が問題なのだ』

( 参考:婦人保護長期収容施設 かにた婦人の村

この日本が、世界にも珍しい「売春天国」と言われた頃、これではいけない…と立ち上がったのは、クリスチャンの女性でした。その80年におよぶ運動のすえ、やっと「売春防止法」が成立した時、深津文雄牧師は一人の奉仕女を連れて厚生大臣をたずね、コロニーの必要を説いたのです。
それは、ひとりの人間が、苦しみの海に身を沈めるからには、ただ貧しいだけではあるまい、それに先立つ障害があるのではないか…と思ったからです。
果たせるかな、彼女たちの大部分は、何らかの意味で知・情・意に障害をもつ、不運な人々でした。そうした、簡単には社会復帰のできそうもない人々のために、法律には書かれていない「長期収容」と特記された婦人保護施設が、日本で初めて、館山の会郡砲台跡に生まれたのです。

昨年2010年に映画化されていることを知りました。
30年前に20代だった著者の原作を、現在(いま)、同年代の東京芸術大学映像研究科の学生が映像化したとのこと。
個性派なキャスト陣にも惹かれるので、レンタル店をハシゴしてみることにします。



2011-05-17

句読点の妙

この間、ひとつ歳を塗り重ねた晩のこと。

マジックインキで家族の連名が記された、図書カード5枚収まった包みがパソコンのキーボードの上に鎮座ましましていた。

「センセイの鞄」を読み終えてから、のどぼとけあたりにずっと引っかかったままだった川上弘美と、小川洋子の著作をなんら迷うことなく、翌日、数冊手にした。

二冊とも適度な文量だったこともあってか、立て続けにするすると昼休みのチャイムを四度聞くうちに読み終えた。なんだかずるずるな気分に陥ってしまったのだけれど、床についてから「冬の夢」を読んで、リトマス試験紙が青く呈色する感じで、むしろ心地良かった。

心置きなく、今晩にでもオルガ・キュリレンコを眺めようと思う。

 


昨日、微妙な位置に穴の開いた、最後の図書カードで手にした内田百間。

2011-05-12

大厄らしいのです

たぶん、あの頃に外装部分を振動やたわみに強く、加工もし易いスティールのものに変えたのだと記憶してます。
素地の耐久性を考え、下地処理を念入りに施して、歯磨き粉みたいな真白い色をムラにならないように塗り重ねました。
一年ごとに色を塗り直して耐久性を維持するのですが、大きなゴミが付着してたり、稀に腐食のために穴が開いていたりするので、丹念に下地調整を行います。
同じ色を塗り重ねているはずなのに、年ごとに濃淡が目立っているのに気づきます。立ち位置、考え方、さじ加減、方向性など段階的変化。

未曾有の震災から、ちょうど二ヶ月経った今日、無事にひとつ歳をとりました。
誕生日を一日間違えたであろう心の友に、「大厄」だということを教えてもらいました。ありがとうございました :)

今朝出勤したら、机の上に小さな包みが届いてました。
何度か「グレート・ギャツビー」に手を伸ばしては、その前に読んでおきたいと思っていた本です。和田誠の装幀で箱入り、頁をめくるのも勿体無い感じです。
西の恋人からの誕生日プレゼントでした。いつも色々とありがとうございます。テヘッ

大厄の年齢では肉体的にも体力の低下や反射神経の鈍化など、衰退が顕著になる時期でもあり、医師の診察を受けた際に体調不良を訴えやすいともいう。健康管理などの面でも注意が要される年頃でもあるともいう。
厄年 - Wikipedia

生まれて初めて点滴をぶら下げれるんじゃないかと期待するぐらいの心構えで、勇猛精進する所存で御座います。ハイ

2011-05-10

Cherish The Day

一応、4月29日から5月5日まで連休でしたが、何年か振りに何も予定のない黄金週間を過ごしました。

細君は、鍵盤を抱えて避難所をまわって復興活動のお手伝いだったので、その様子を子供らとブラウン管の外で眺めていたのが、連休前半唯一の記憶。

5月2日は、暦は平日だったので子供らは学校へ、細君は次のイベントのためにマックの前で鍵盤と格闘していたので、山へ芝刈りにでもと思いましたが、天皇、皇后両陛下が、近所の避難所を訪れるらしいとのことだったので、色々と自己自粛することに(結果的に強風のため5月6日になりましたが)。

結局、クロネコさんが届けてくれた本と、映画DVDのお世話になりました。
毛羽立った麻縄が縺れ合うような繋がりのある短編集でした。
読了後は、半熟卵を冷水に入れずに殻を剥こうとしたら、白身ごとゴソリと剥けてしまって、特有の匂いと小さくなるばかりの卵に苛々していたら、薄い白身の部分からドロリと黄身が出てきてしまった感じになりました。
これから小川洋子にハマってみるものいいかなと思いました。

ガイ・リッチー監督、マドンナ、クライヴ・オーウェン(運転手)主演のBMW M5 CM。文句なしにかっこいいです。

 

結局、色々とストレスを溜め込んでしまった連休でした。

2011-04-27

迷い道 くねくね

例年に比べて、3週間ほど遅れの25日ぐらいから、市内の小中学校は一斉に(やっと)始まったようです。

歩道脇の緑の中に黄色の花を目にするように、学校に向かうランドセルが踊る中にも黄色い帽子を目にして日常を感じました。

下駄箱のスノコに躓いて転んで、スノコの継ぎ目に刺さったままの脱げた上履きズックを見ながら泣いたことや、半ズボンを履いた男子は皆白いタイツを履いていましたが、私だけが肌色のタイツを履いているのに気づいて、仲間外れにあっているような顔で集合写真に収まったことや、地区ごとの集団登校では登校班班長の兄が変によそよそしくて妙に厳しかったことや、三年生のキヨシくんが、いつも集合時間ギリギリなので遅刻してしまうんじゃないかと、無駄にドキドキしていたら、オシッコを漏らして結局遅刻してしまったことや、────赤信号に足踏みしているランドセルを眺めていたら、思い出さなくても良い記憶ばかりが青信号に変るように灯りました。

小学校の始まるのが遅れた分、夏冬休みは削られて、子供達は意気消沈していますが、父母達は意気揚々な感じです。

先日、ちょうど岸本佐知子さんのエッセイ集を読み終えた時のことです。
エッセイの中で、たびたび川上弘美さんという作家の方を目にしました。「あるようなないような、やっぱりあるような(気になる部分)」という章で「カワカミさん」として書かれていたりして、川上弘美さんの作品を読んでみたいと興味を持ちました。
ちょうど読了した次の日ぐらいに、いつもお邪魔させて頂いている先で「センセイの鞄(川上弘美)」のことをお書きになっているのを目にしました。「なんという(偶然のタイミングな)ことでしょう!(加藤みどり調)」。あぁ、なんてシンクロニシティ!シティー!シティー!ホンダ!ホンダ!ホンダと、ひとりマッドネスで興奮のるつぼに陥ってしまい、なんだか、あらためて地動説が正しいことを実感して、早速、南アメリカに広がるコーヒー色した大河に向けて、マウスを漕ぎ出した次第で御座います。えぇ
物心ついた頃だったと思いますが、風邪を引いて内科医院に行った時の事です。
リノリウムが独特の匂いを放っていて、それに蓋をするように粗末な黒の長いすが等間隔で並んだ待合室です。正面に天井にぶら下がるようにテレビが据え付けてあります。隙間なく長いすに座った人たちは、口を開けてテレビを食い入るように見ています。ブラウン管の中では、クレーンに吊るされた大きな黒光りした鉄球が、左右に力強く大きく揺れながら建物の壁を容赦なく破壊していました。────というシーンが幾度か頭の中で流れて、「センセイの鞄」が映像化(DVD)されている事を知りました。コンビニで当然のように聞かれる「おにぎり暖めますか?」は、北海道・東北地方しか聞かれないという事実を知った時ぐらいの衝撃でした。いい大人になるまでの間、小泉今日子さんのファンを標榜にしていたので、仕事帰りにレンタル店をはしごしたのは言うまでもありません。
今週はなんだか、まわりはすでにゴールデンウィークな雰囲気で、手持ち豚さと誤変換するぐらいに手持ち無沙汰な感じです。

2011-04-20

丁字路を右へ

破傷風に十分注意 がれき撤去で感染の恐れ 医療関係者ら呼び掛け

被災地では、作業中にがれきでけがをしたり、くぎを踏み抜いたりする危険性がある。さらに衛生状態も悪く、けがをしても水が十分に使えない場合もあるため、感染の可能性は高まり、すでにボランティアに患者が出たという。

河北新報 東北ニュース(2011年04月12日火曜日)より一部抜粋
破傷風は、とても恐ろしく怖い病気であると、トラウマになるぐらいに教えられた映画があります。

日々、繰り広げられるホルモンと細菌と皮脂の、壮絶な三つ巴の戦いの傷跡が顔に広がり始めた頃、週末に届けられた新聞のテレビ欄深夜枠に、テストステロンの分泌量を促すタイトルを発見しました。枕元に靴下を用意するような気分で、なんら迷うことなくタイマー録画をセットした記憶があります。

「うぎぁぁぁぁぁーーーっ!!!」
ジャンル的にヒューマンなのだろうけど、下手なホラー映画よりも十二分に恐怖以上のものを感じました。今の精神的に苦痛を感じるホラー映画の原点とも言えるかもしれません。残念ながら、断片的な記憶しかないのですが、その大半が破傷風に感染した小さな女の子が、もがき苦しむシーンばかりです。
監督が野村芳太郎ということもあって、トラウマ克服のために観返したいと思っているのですが、残念ながら、DVD化されていないようですし、近所のレンタル店にも置いていません。ビデオデッキが生きているうちに、なんとかしたいと真剣に考えています。

中々踏ん切りがつかずに、しばらくアマゾンのほしい物リストに入れていた本ですが、西にお住まいのキャディさんがフォロー(追い風)ですと言って、ドライバーを差し出してくれたので、心置きなくフルスイングしたのですが、風に乗り切れなかったのか、あえなくラフの中へ(一時的に在庫切れ; 入荷時期は未定です)。素直に近所の書店に注文することにしました。
最近、活字は読みたいのですが、なんとなく物語を追う気分ではないので、エッセイ集ばかり読んでます。そのうちの一冊、翻訳家の岸本佐知子さんのエッセイ集です。
これは文句なしにおもしろかったです。読んでいて普通に声を出して笑ってしまいました。引き出しの多さと洞察力、なによりも文章力に惹かれました。最初のニつ三つ読んで早速追加でポチり。
エッセイ集でリハビリした後、「岸本の翻訳作」を読み漁ろうと思ってます。
ただ、「東日本大震災の影響で配達できないエリアです」というメールには結構凹みます。


BAWDIES!まさかのAI とのコラボ!! 
これはやばいやばいやばいいぇいいぇいいぇーぃ!

 

2011-04-13

降っても晴れても踏んだり蹴ったり

その店の前を通ると、裏の自動車整備工場で軽自動車みたいなクラウンが横転している様子が見えます。そのたびに、私立探偵スペンサー・シリーズがハードカバーで全巻揃っていて一冊百円だったにもかかわらず、手に入れなかったことを後悔してしまいます。

震災後、色々とあわただしく過ごしていましたが、時間を見つけて読んでいた本です。その店で最後に手にした本でもあります。
はじめての村上春樹作品は1Q84でした。それから村上春樹作品に興味を持ち、次の長編に手を伸ばす前に数冊の短編を読んで準備しました。一応準備万端整って読んだ長編です。

村上春樹作品を大して読んでいるわけではありませんが、読むたびに丁寧な描写表現や、独特な比喩よりも、逆説の接続詞に魅了されてしまいます。だからと言って頻繁に使われているわけでは無いと思います。

次の長編は「アフターダーク」と決めているのだけれど、僕が帰る時刻(ころ)には、震災の影響からか、多くの書店は早々に電気を落としている。「やれやれ」と僕は思った。

────と、一応、逆説の接続詞を入れた文章で締めておきます。

2011-04-06

春かたまけて

日々、復旧・復興という無形のものが、有形なものに変化していく様子を目にするだけで、前向きな気分になります。失いかけていた日常に少しずつ戻ろうと思います。
  • 毎日チェックする先のひとつ、 honeyee.com(ハニカム) というサイトがあります。その中で一番に読むのは、長谷部千彩 という方のブログ。ピチカートファイブの小西康陽氏の奥さんで文筆家の方ぐらいということしか知りません。もちろん連載している雑誌の記事も読んだことはありません。とても綺麗な文章を書く方だと思っていたので機会があれば、著書などを読みたいと思っていました。ということで昨日ポチりました。

  • 漫画が好きで定期的に買っていました。細君は漫画に対して否定的な考えを持つ人なので、結婚してからは買うのを止めていました。買ってしまった漫画は、捨てずに今でも実家にあります。厳密には流れず残(あ)りました。昼飯時に休憩しながら、気分転換にと読み返して、今でも傑作だと思ったものや、実写化を願う作品など。
    • 頁から湧き出るエネルギーを感じる作品です。作者の木葉功一はもう少し評価されても良い漫画家の一人です
    • 4巻で完結だった記憶がありますが、見当たりませんでした。4巻はかなり分厚かったはずです
    • 実写化を切に願う作品でもあります。が、主役を演じきれる男優が浮かびません。監督は塚本晋也でどうでしょうか 
  • SFアクション作品です。10巻完結のようですが読んでいません。今なら大人買いしちゃう?な精神状態なので怖いです
  • この作品も実写化してほしいです。これなら海外作品でも世界観は変わらないのでお願いしたいです
    • 「蒼天航路」の王欣太のデビュー作品。この作品はGONTA名義。この頃は、絵も内容も洗練されていない荒削りですが、そこに魅力を感じます
    • 主人公のトーマに雄を魅せつけられる作品だと思います
    • エンスーカー漫画の巨匠である西風という漫画家の作品
    • それまではエンスーカーに関連した作品(代表作「GTroman」や「DEADEND STREET」など)しか書かない方でしたが、漫画家 いしかわじゅんに「双葉社版コミックスに寄せたあとがきに「西風に長い話、暗くシリアスな話、旧車の出ない話を描いて欲しかった。このうちの長い話が LAST MOMENT として発表された」(Wikipediaより抜粋)」とのことです
    • 林海象監督で実写化どうでしょうとか思います
他にも山口貴由作品だとか、連載中の「無限の住人」「ベルセルク」など、
  あげはじめるとキリがないので、この辺にしておきます。

  • ジャンル的にハードボイルドものをよく読みますが、自分の中で大沢在昌、香納諒一は「あっさり系」、原りょう、矢作俊彦は「こってり系」、東直己、逢坂剛、藤原伊織は「こってり系(寄り)」と一応分類しています。(大藪春彦、北方謙三あたりは本家とか元祖としておきましょう)。こってり系寄りの作家、東直己の代表作のひとつに「ススキノ探偵シリーズ」があります。
[シネマトゥデイ映画ニュース] 大泉洋が、東直己「ススキノ探偵シリーズ」2作目の「バーにかかってきた電話」を映画化する『探偵はBARにいる』の主演に抜てきされた。大泉が本作で演じるのは、酒好きで美人に弱く、お世辞にも二枚目とはいえないけれど、街と仲間を愛し、情に厚く、例え自分が傷だらけになっても依頼者を最後まで守ろうとする心優しき探偵という役どころ。
大泉洋、故郷の北海道が舞台『探偵はBARにいる』の主役に抜擢!松田龍平とのコンビでシリーズ化目指し『相棒』に続け!
9月に全国公開予定とのことです。一応期待してみます。一応。


今日は久しぶりに書店とレンタル店経由で帰りたいと思います。ただ帰る頃まで営業しているか心配なところです。

2011-03-01

油断してしまいがちな時期

2月は会社の年度末で色々ばたばたしてる。さらにこの時期にボスも事前アナウンスも無く引退宣言。頭をもがれた蛇のようにじたばたした状態だが、世紀末が来る感じではない。*1

先週の春めいた陽気は、週があけたら一転してコンクリートの壁で擦った発泡スチロールが舞うような空模様。

昨日今日と年度末恒例行事とも言える実地棚卸。薄暗くカビ臭い倉庫の中、かじかむ指先で必死に電卓を打ちながら舌打したり。トイレで寒すぎてキャラメルコーンみたいな状態に幼い頃を思い出したり。

そんな最近、まわりくどい比喩表現と丹念に磨きぬかれた台詞回しを欲してしまい、再読したり、あらためて積読した本。



矢作俊彦と原りょうと村上春樹でレイモンド・チャンドラーについての対談を実現して頂きたいと切に願う。

さて真理をつかむために勇猛心をふるいおこして倉庫に戻ろう。


*1:by.シブがき隊「NAI-NAI 16(ナイナイシックスティーン)」。

2010-12-16

むしろ自ら後方に反り返るように倒れ込んでみたいシーズン

久方ぶりにウィリアム・ギブソンの「ニューロマンサー」から「モナリザ・オーヴァドライヴ 」まで読破しようと思い立ち、とりあえずSFモノのリハビリからはじめることにしました。と、積読状態だった「虐殺器官」を読み始めるきっかけにしたのですが、最近すっかり没頭(ハマ)ってしまい、時々、脳みそをスクイザー *1 に入れられてペダルで踏まれるような感じに陥るので、脳(あたま)休めのため、軽めの本に一時避難したりします。

特に題名になっている「お父さんのバックドロップ」は、プロレスに熱狂した世代、いや「1・2の三四郎」世代にはたまらない作品だと思います。
2004年に仮面ライダーオーズの鴻上ファウンデーションの会長(宇梶剛士)主演で映画化されてます。
ずいぶん前に観た記憶しかありませんが、よくぞ数十ページの短編を約一時間半に作り上げたと関心しました。ストーリー的にベタですが、とても良い作品だと思います。


中島らものプロレスに対して、並々ならぬ愛情を持った上での核心的な、原作のいちシーン。(以下一部抜粋)

~ファミレスで息子にプロレスで悪役をしている父を尊敬していないと言われる。父親が自分のプロレス(会社)での悪役(仕事)について説明する~

「(略)たとえばギャング映画を作るのにだな、出る役者みんながみんな、善玉の役をやりたいといいだしたら、どうなる?映画ができないだろう。お客さんが楽しんで見てくれるものにするためには、そういう、そんな役まわりをする人間が必要なんだ。」
(略)
「おまえのいっている小学校だって、そうだろう、花の世話する当番の子もいれば、便所掃除の当番にあたる子もいるじゃないのか。」
(略)
「世の中なんて、みんなそれぞれの役割でなりたつんだ。便所掃除をさぼって、花の当番ばかりしたがるやつがすきか?」
「みんな自分の役割をはたすために、つらい思いもするんだ。おれが毎日毎日バットで腹をなぐらせたり、砲丸を腹の上におとさせたりしてきたえているのはなんのためだと思う?」
「強くなるためでしょ?」
「すこしちがう。トレーニングをするのはな、<ケガをしない>ためだ。」
ーそれでも息子に尊敬できないと言われる。父はオリンピックにまで出たアマチュアレスリングの選手なのにコーチになるなどして、なぜ続けなかったかと問われて言葉に詰まってしまうー
「かわりにいってあげようか。ほんとのスポーツの世界には、ほんとの勝ち負けがあるからなんだ。」
「お父さんは、そのほんとうの勝ち負けのある世界に、ずっといるのがこわかったんだ。だから、みどり色の霧をふいていれば、どっちが強いかよくわからない世界に逃げたんだ。だから、尊敬できない。」
「カズオ・・・・・」

~閉口してしまう父。これをきっかけに(当時)世界最強といわれる空手家に異種格闘技選を挑むことを決意する~




*1:モップ絞り機。

2010-12-07

~にまつわる今日の動き

大して意識していたわけではありませんが、みぞおちから右わき腹の肋骨の裏側を痛打されたみたいに、今になって 12月5日(日)ブログ更新しなかったことをなんとなく悔やんでいたりします。前に独立宣言した吉里吉里国の伝統的な踊りは、「きりきり舞いだ」という先輩の冗談を、齢30間際まで信じていたときの気分に似た感じです。

半島情勢が緊迫している昨今だからと読んでいるわけでも、積読いたわけでもありませんが、最近昼休み時間を費やしている本など。
誉田哲也作品は、「ジウ」シリーズ、「ストロベリーナイト」と、どちらかと言うとエンターテイメント性が強いと言う印象でしたが、本作はそんなイメージを払拭したようなリアリティあふれる重厚な警察小説。なかなかどうして面白いです。

お初村上龍作品です。なぜだかW村上作品は避けて通ってた感があります。とっかかりにとブックオフで発見した作品。5年前に書かれた来年(2011年)が舞台と言うことで、以前より興味があった作品です。

前出の流れでせっかくなら、「そちら系」にとブックオフで発見した作品です。


IMG_0100

本日は四半期ごとの重要な定例会議だったり、宵からはボスを含む、上層部と忘年会だったりで、息継ぎが下手なクロールで一生懸命に泳いでいる感じに浸ってます。
それ以前に泳げないだろというツッコミはなしの方向でお願いします。

2010-11-19

多大な期待は大概裏切られる

年頃の男子が年上の女性に憧れを抱くように、スティーヴン・キングを読みふけっていた時期があった。それは麻疹のようなもの。最後に読んだのは二冊の短編集。


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先の「骸骨乗組員」に収録されている「霧」は映画化された。「霧」のためにあるような短編集。

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原作と映画では結末がまるっきり違う。原作はまだ希望的だが、映画はこれ絶望的。すじこおにぎりを食べながら野菜ジュースを飲んだような、後味の悪い映画。
映画自体良く出来た映画だが、子供を持つ身としては非常につらかった。キング原作は 「外れ」な 作品が多いが、この作品は秀作だと思う。

二、三日前、カウンターに好みの娘がいて何かしらの淡い出来事を期待しているわけではないが、足繁く通っているレンタルビデオ店に行った時のこと。
リミッツ・オブ・コントロールを目指した陳列棚の前でパッケージのイザック・ド・バンコレを通して、なぜだかサミュエル・L・ジャクソンを思い浮かべてしまい、あー そういえばと借りた作品。

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「幸運の25セント硬貨」に収録されている「一四〇八号室」が原作。
レンタルのタイミングがあわなくて、すっかり忘れていた作品。原作がそれなりに面白かった記憶があって、機会があれば観てみたいと思っていた。その機会に恵まれたということ。

作品の評価は低いようだが、キングの原作だと十分に及第点だと思う。原作が数十ページほどの短編なので、2時間弱の作品を作り上げたか興味があった。中だるみ感はあったが、夢落ち?幻覚?という、まとめ方しなかったことと、ミストとはある意味で真逆な結末で安心した。
大切に右耳にはさんでいる一本のタバコについて何ら触れられなかったことと、サミュエル・L・ジャクソンが存在感があったのに活躍が少なかったことが残念。


次なる映画DVD牙城攻略は、スカーレット・ヨハンセンをニヤニヤしながら眺めることにする、それは今週末の予定。

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「来週が素敵な一週間でありますように。宮原亜矢でした。See You Next Week!」

2010-11-17

フランキー・マシーンの冬 - ドン・ウィンズロウ



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フランク・マシアーノはマフィアの世界から足を洗ったつもりだった。地元サンディエゴで釣り餌店をはじめ複数のビジネスを営むかたわら、元妻と娘、恋人の間を忙しく立ち回り、“紳士の時間”にはサーフィンを楽しむ62歳の元殺し屋。だが“餌店のフランク”としての彼の平和な日々は、冬のある一日に突然終わりを告げる。過去の何者かが、かつて“フランキー・マシーン”と呼ばれた凄腕の存在を消し去ろうとしていた―。

「犬の力」 のドン・ウィンズロウの最新作。
「犬の力」読了後、これ当たり前と書店の陳列棚に最短で向かった。「犬の力」のあとがきによると、本書「フランキー・マシーンの冬」は、マフィア役はもうやらないと公言していたロバート・デ・ニーロ主演で映画化が決定しているとのこと。ちょっと調べると、監督は「ヒート」「コラステル」「マイアミ・バイス」「パブリック・エネミーズ」のマイケル・マンで2013年全米公開予定らしいことが、その理由。

そんな前情報もあってか、忙しなくめくる頁上で活躍する主人公フランク・マシアーノは、ロバート・デ・ニーロそのものだった。

冒頭、結構な頁を使ってフランクの”生活の質(Quality of Life)” にこだわる生き方が描かれている。
「これは、”生活の質”の問題なんだ」
そう、生活の質。けさ、フランクはその言葉を思い出しながら、コーヒー豆が蒸される香りを楽しみ、やかんを火にかける。生活の質とは、日々の些細なあれこれにまつわること、こまごました用事をそつなく、そして正しくこなすことだ。 
以前、流れていた某企業のCM。「イチローはなぜ同じ毎日を繰り返しているのに未来を作れるのか」ナレーションの後、「確かな一歩の積み重ねでしか遠くへは行けない。通信の未来も確かな今日の積み重ねで作られている」という、イチローの言葉をふと思い出した。

「犬の力」より、軽妙なタッチで、すいすいと心地良く読めた。読めたから、尚更このヴォリュームで上下巻必要ですか?な感じは否めない。

自身の“生活の質”について考えさせられた作品。

2010-11-10

今日は死ぬにはもってこいの日 - ナンシーウッド



今日は死ぬのにもってこいの日
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ブログタイトルにもしているネイティブアメリカンの言葉。
いつ死んでも後悔することのないように一日一日を過ごそう、というような意味。

ずいぶん前から、思い出しては探してみるものの見つからず、これ見よがしな「無料配送」に背中を押されて、黒ネコさんが先週末には届けてくれた。

寝る前、ベットサイドライトのスイッチに伸ばした手を寄り道させて、そのときに右手親指が選んだページに目をやる。昨晩開いたページ。

 昼間がその目をぴったり閉じて
 空がぐっすり眠ったら、
 月は片顔で昇りそめる
 星は夜空に穴あける
 
 わたしは日々年取ってゆく。
 でも知ってるぞ、
 消えゆこうとする青春は
 わたしの不確かな知恵に身を潜め
 刻一刻と若返ってゆくことを。
 (34p 引用)


 おまえは後戻りはできない。
 わたしたちの道が
 「昨日」に架ける橋だと信じているなら
 おまえはここで生きることはできない。
 「今」は過去のやり方とは違うのだ。
 「今」は美しい、
 なぜなら、この世で大事なもののすべては
 わたしたちに至る道を見つけてしまったからだ。

 (81p 引用)

2010-11-03

なで肩の狐 - 花村萬月



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元ヤクザの木常は、神保町にある呑み屋のオヤジだ。ある日、現役の徳光からアタッシェ・ケースを預かる。二億円ほどの札束。組に黙って稼いだのだ。そいつは、とんでもない厄ネタだった。一週間後、さっそく凶刃に襲われる。幼なじみの女とその娘、舎弟の元力士を引き連れ、木常は、北辺の地を目指した。徳光の最後の願いを叶えるため。穢れなき雪原の中、壮絶な闘いの幕が上がる。

花村萬月はじめました。

Amazonさん家に御用がございまして、玄関先を伺ったところ「これにも注目」と書かれた表札の下に「なで肩の狐」という本がご丁寧に並べて御座いました。
私、背丈(たっぱ)は男性として平均値を示す程度なんですが、その躯には不釣合いと表現するしかないモノをバランス良く首下に従えております。なにかのきっかけで誰彼無しに並んで立つことがあると大概「えっ!○○○さんって思ったほど背が高いわけじゃないんですね」と驚かれることもありますし、一般的に定説化している肩幅=水泳(かっぱ並みの泳力)を、肩幅=金槌(ある意味ハンマーヘッドシャーク)であることで覆し、これまさに沈んだ顔、浮かない顔にすることもしばしばございます。そんな皆様の様々な期待をことごとく裏切る、いわば「はったり肩」を持つ身として、「肩」という単語を無意識の自然と拾ってしまうようです。

と、いつものように無駄に長い前置きとなってしまいましたが、花村萬月という作家は前々から気になっていたこともあって、目当ての本といっしょに購入するに至った次第で御座います。

いい意味で「粗削り」の文体にページをめくる指が惹かれました。
たぶん「この手の作品」が好きか嫌いかできっちり二分しそうな作品。私は期待していなかった分、十分に楽しめました。

主人公の元ヤクザ「木常(キツネ)」の暴力と優しさの二面のバランスが魅力的です。男女ともに惹かれる男の危うい雰囲気の魅力を十分に理解して表現していると思いました。ふとしたきっかけで兄弟分となる元関取(十両)の蒼ノ海とのやり取りが良いです。ジャンル的に「ハードボイルド」ではなく「ハードボイルド的」な作品だと思います。

「匂い、だよな」
「どういうこと?」
「人を好きになるってことは、相手の匂いを好きになることなんだ」


読書つながりで、もうひとつ。
2007年05月食道癌のため死去してしまった藤原伊織の代表作「テロリストのパラソル」(史上初の第41回江戸川乱歩賞・第114回直木賞受賞作)。藤原伊織にハマるきっかけになった大好きな作品です。1996年フジテレビ「金曜エンタテイメント」でテレビドラマ化されてることを知りましたが正直あきらめていました。
...って、あらっやだ!奥さん!奥さん! BSフジ ch181「第41回江戸川乱歩賞受賞作『テロリストのパラソル』」! 萩原健一に根津甚八ですわ!すっかり予約録画忘れてあせってますわ!そんな本日出勤日。

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