2011-05-25

鳴き砂

海沿いを車で30分ほど南下したところに大槌町というところがあります。

海に面した場所なので、今回の震災により壊滅的な被害を受けました。
大槌町には「吉里吉里(きりきり)」という地区があります。
80年頃、ベストセラーとなった 故・井上ひさしの著作「吉里吉里人」にあやかり *1 、町おこしの一環に「吉里吉里国」と独立宣言して、全国的に知られたところでもあります。(他、「天才たけしの元気が出るテレビ」の元気ハウスも一時ありました)
「吉里吉里」という名の由来は、海岸の砂浜を歩くと、砂が軋んで「きりきり」と聞こえたことだとか。昔は「鳴き砂」だったことがうかがえますが、現在(震災前)では普通の砂です。

宮城県気仙沼市に「九九鳴き浜」と「十八鳴浜」という、「鳴き砂」で有名な海岸があります。
「鳴き砂」は、不純物が混ざったり、水質汚濁すると鳴かなくなることから、健全な自然環境が保たれているかのバロメーターとも言われているらしいです。
今回の震災による津波の被害を心配していましたが、昨日、twitterで「九九鳴浜も十八鳴浜も砂が鳴いてくれるらしい。まだがれきがいっぱいらしいけど、元の海に戻りそうでよかった。」と、ぽんこさんのツイートを見て安心しました。

ずいぶん昔、入社したての頃だと記憶しています。
(当時)会社の先輩と吉里吉里地区を車で通ったときのことです。
「吉里吉里の伝統芸能を知ってるか」
「あ、いえ、知りませんけど」
「おいおい、お前、社会人として恥ずかしいことだぞ」
「え、はあ、『虎舞(とらまい)』とかですか」
「『虎舞』は、どちらかと言えば、釜石(市)寄りの伝統芸能だな」
「はあ、なるほど」
「吉里吉里には、古くから継承されている『きりきり舞い』という演舞があるんだ」
「はあ、『きりきり舞い』ですか」
「覚えておいて損することは無いぞ」
「なんだか、あわただしそうな、あたふたしてそうな舞ですね」
「ああ、そんな感じの舞だな」
「見たことあるんですか」
「ああ、ニ度ほどな」
「さすがに、両手に錐(きり)を持って演舞するわけじゃないですよね」
「ああ、じゃないな、さすがに」
「見たことあるんですね」
「ああ、二度ほどな」
しばらくして、その先輩は問題をひとり背負い込む性格がたたり、てんてこ舞いになって会社を辞めてしまいました。

十年ほど経って、取引先と打ち合わせがあったときのことです。
担当の方(結構年配)が、吉里吉里在住だと聞いて、話の種に『きりきり舞い』の話題(こと)を持ち出したら、呼吸困難になるぐらいに笑われてしまいました。
そんなことをぼんやりと思い出しました。

52202


*1:小説の中では、宮城県・岩手県の県境付近にある架空の村と設定されているらしい。

2 件のコメント:

  1. sharon様
    どこだったのだろう。僕は一人で鳴き砂の浜を歩いたことがある。
    どこだった思い出せない。一人だったせいかもしれないが
    泣き砂の感が強い。

    さすがに「キリキリ舞い」のところで気がつきそうなものなのにと思うのは、先輩の話術が優れていたことにしましょう。
    キリキリ舞いの先輩がてんてこ舞いで辞めてしまわれたのは残念です。


    あ、確かに、魚肉ソーセージに開封は、僕はヘタです。
    ねじり倒して、2本にしてしまいます。
    さすがです。
    ソーセージをワイルドにかつ華麗に開けたsharonさんを見て
    何人の女の子を落とす事ができたのでしょう。疑問です、かつ残念です。

    荒木

    返信削除
  2. 荒木さん

    ええ、ソーセージをワイルドにかつ華麗に開けたところで
    女の子は落ちてくれませんでした。はい、残念です 笑
    最近の魚肉ソーセージは、昔に比べると大分マイルドな味に
    なったのも残念に思います。

    しかし、いいですなぁ、若い女の子と魚釣り... 笑

    返信削除