2009-12-03

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鳴らない携帯電話


昨日、出張明けでナチュラルハイな真向かいの同僚に、「子どもにさぁ、お父さんのケイタイ鳴らないねって言われたんだけどさ、鳴る?そうそう鳴らないよね」と聞かれた。

ちょうど襲い来る睡魔の誘惑に成す術を無くし、必死に脳が要求する酸素の量を鼻孔開口許容量と、左側の口元のみを下に向けてこれを受け止め、涙目で最後の砦を必死に守っていた時だった。
この時ばかりは、テンパっているときにバリトンでメール文書を読みあげてしまう、そんな彼が救世主に見えた。
「普段は、特別なことが無い限りマナーモード設定にしてるけど、目覚ましのアラームを設定してるんで毎朝鳴ってるよ。ちなみに一昔前の金曜ロードショーのオープニングなんだけど聞く?」と答えた。

 
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同僚は、資生堂CMのアンジェリーナ・ジョリーのように、左眉だけを物理的可動範囲上限部だと思われる部分まで引き上げて、PCモニター影から見据えていた。
モニターの影で口がだらしなく開けられていることは、容易に想像できた。
三日月を45°に傾けた目を造りながら、「...だからさ、ほら、ケイタイが鳴らないってぇ...」と、説明不足を必死に反省しながら続けたので、「わりぃわりぃ、楽天のポイントとか、TSUTAYAの新着とかでメール来て、結構鳴るよ、鳴る」と答えると、PCモニターから覗いている眉毛が十時十分に変わるのが見えた。
さすがに、ここまでかと思い「~うん、昔(独身時代)ほどは、流石に鳴らないよなぁ~最近は」と答えると、「だよな、そうだよなぁ~」と、自分だけでは決して無い事を素直に喜び、安心した様子だった。
「ただ、「昔(独身時代)ほど」のレベルは人それぞれだけど」という言葉をゲップが出ないことを祈りながら、そっと喉元で飲み込んだ。

そもそも、ケイタイメールが苦手だ。ましてデコメなどもってのほかである。
元オリックスの清原似で生え際のベジータ化が急速に進み、会うたびに別人と化している本社の同僚から、若い娘と見間違うようなデコメが送られてきた時には、さすがに卒倒しそうになった。
また、本社総務担当(男)から出張先に、「(*^□^*) ☆ぉつかれさまですぅ~★ ♡...キラーン」と、いう感じで無駄に動いている文字で送られてきた業務連絡を見て、その場で折りたたみ式携帯電話のヒンジ部分を支点にして、腕ひしぎ逆十字固めを決めそうになったこともあった。

デコメが悪いと言う訳ではなく分不相応に、ということだ。
だからって、デコメをもらって決して嫌な気にはならない自分だったりする。

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